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 麻薬、薬物依存症

自分ひとりでは支えきれない苦しい心。
薬に頼るのではなく、人の心を信じることで、そこから抜け出せます。

麻薬にしろ他の薬物にしろ、それに手を染め、それを手放すことのできなくなる“もとのところ”は同じです。
現状を見据えることができない、そこから逃げ出したい、誰かに助けてほしい、自分ではどうしようもできない、何の希望も抱けない・・・というように。たとえ初めが“興味半分だった”という者であっても、その時点で心満たされていれば、“危ないもの”だと分かっているものや、“はっきりとしないもの”に手を出すことはありません。また、疲労が重なっていたり、もっと元気に動くためにという目的があってのことだったとしても、そこでも、「何とかしなくてはならない。でもできない。」という実情があったわけです。
いずれの場合においても、それら薬物が持つ“危うさ”よりも、その場の(さまざまな)苦しさから逃れることの方を選んでしまうくらい、その人は頼りたいものがあったのだという理解は必要です。そしてそういった心の弱味につけ込んで、そこで“もうけること”を企んだ者たちもいたのだということも。

何かにはまってしまい、そこから抜け出せずにいるいる人は大勢います。しかしこの薬物依存は、その人そのものを壊してしまうに至るものなのですから、あなた方人間が扱うべきものではありません。一時の逃げと引き換えに心と体を提供してしまうほどの物ではないはずなのです。

薬物によって得ようとして得られていない、本当の安心は何によって得られるのか。それは人からの心のエネルギーと自らの気づきとによって、です。
人は全くの“ひとりぼっち”でこの地上に生きているのではありません。必ず何かしらの“つながり”のなかに生きています。あなたの「本当の心の叫び」を聞いてくれる人は必ずいるのです。薬物に頼るしか逃げ場がなかった、そのあなたの苦しさ・寂しさ・疲れを分かってくれようとする人が必ずいるのです。「どうせ分かってはもらえない。」というあきらめを先に持つことはありません。たとえ家族のなかにそういうつながりを持つことができなくとも、友人の誰かが、あるいは知り合いの誰かが、それでなければ、あなたを癒そうとする者の誰かが必ず、耳を傾けてくれます。人の心を救うのは人の心なのです。
人からの心のエネルギーを求めているあなたに、心のエネルギーを注いでくれる者は必ず配剤されます。そのまま“依存”という渦に身を任せたままでいるのか、それともそこから何としてでも抜け出して、新たな道を歩むのか。後者を選んだ場合、苦しい時期は覚悟のうえのことでなければならず、前者にしかいられないのであれば、それはさらに苦しい“崩壊”への道です。それならば、その先に希望を見出せる後者を選んでほしいのです。ひとりでは難しいそのことを、人の手助けを借りながら、再起へ向けてやっていこうと意志するならば、きっと導かれるのです。過ちを犯したら、それに気づいたあとにどうしていくかが問われるのです。そこでは力を奪い立たせ、あらん限りの意志の力を高めていかねばなりません。しかし、その“高めた力”はあなたの“生きる力”そのものになっていくのは間違いありませんし、そのことが、薬物依存症という悩みを抱えたうえで、あなたが得なければならなかった“気づき”なのです。
誰のものでもない自分の人生を、自らの過ちによってくもらせているのであれば、それを越える意志の力を発揮してこそ、再びそれ以前よりも輝く、ということなのです。

家族(知人)に薬物依存症の者がいる場合、前述のようなことを念頭においたうえで彼らと関わってください。自分はひとりだと感じ、誰にも分かってもらえず、助けてももらえない、という孤独の闇にいる人を、急に明るいところに連れて来ようとしてもなかなかなじめません。その人の心のペースをはかりながら、少しずつ光(その人へ向けての愛情・やさしさ・思いやり)を当てていってこそ、なじんでいけるのです。時間と忍耐と根気の必要なことです。しかしあなた方は何としてもその人を救い出すために家族(知人)となったのです。
あきらめず、見捨てることなく、その人と関わってくれますよう。