地上に生まれ、生きる目的
そもそも地上界とは、霊界にあるさまざまな喜びを、物質(肉体を含む)という形あるものによって表現し、そこに生きる者たちがそれを喜びとして実感していく場として作られました。言ってみれば、見えないものを見えるものにしていくところなのです。
よって、あなた方“人間”は、肉体をもって物質の世界に生きながら、目には見えない“心の喜び”を肉体を使って表現し、実感したり、物質に込めたり、物質に表現したりすることが本来の目的でした。
しかしながら数千年の歩みのなかで、人は喜びの心のみならず、かげりの心も持ち、それを地上界で表現・実感してしまいました。と同時に、地上界の“仕組み”がそれらのかげりを含んで動いています。喜びを表現し実感するはずの地上界が、今はその循環のなかにないのです。むしろ、心をかげらせ、人の喜びを喜ぶこともできず、また自分に喜びを集めようとしてしまう者も大勢いるのです。
幾度となく繰り返された人生において、心に抱いてしまったかげりを人々は解消できないまま地上を去ることがほとんどです。それは積み重なり、今のそれぞれの人の人生に重く影を落としています。それら重ねてしまったかげりを解消するために地上に再生してくることが、生まれてくる目的の主要な部分を占める事態に陥っています。本来成すべきことをする前の段階、「重ねたかげりの解消」のために今、地上に生きる人々は苦しい思いをしています。喜びを分かち合い、あるいはもたらすこと、それによって人々の心が喜びに共鳴して全体のエネルギーが高まっていくこと・・・それが地上界の健やかな姿であるはずなのに、です。
けれども今は、その抱え続けている“かげり”を解消して、本来人々が生まれてきた目的に立ち返るべき時です。何らかの喜びを地上にもたらし、それによって貢献するために。かげりに満ちたままの心では喜びは広がりません。それと同様に、今のかげり多い社会全体を変えていこうと意志することなくしては全ての人々が喜び合える世の中にはなりません。それぞれがそれぞれの心で生きていくことによって、全体は変わっていくのです。そのために地上に生まれているのです。
今、苦しさのなかにある人はそれを乗り越えてこそ力を獲得していきます。その力とは、同じように苦しいなかにある人を手助けし、喜びをもたらしていく力です。
今、希望を持てずにいる人は、希望を見出していくことによって、同じように失意のなかにある人に希望をもたらしていくことができるのです。
今抱えているそれぞれの痛みや苦しみは、その先にある喜びをより大きく深く実感し、さらにはそのエネルギーによって同じかげりを持つ人と喜び合えるためのものだと言えるのです。
それぞれが今回の人生で担っている役割は実にさまざまです。しかしながら、いずれの場合においても、人としての正しさに基き、自分のなかにある人としての優しさを発揮していくこと、それが自分にもまわりの人にも喜びをもたらしていくことに変わりはありません。その共鳴により、全体も自分もが健やかな心で生きていくこと、そのために自分を役立てていくこと、それが今の人生の目的なのです。