■0089■ 「どうせ死ぬんだから何をしても意味がない」
と思う少年(青年)へのメッセージ(01.7.10)
地球というこの星で生きている者たち全(すべ)ては必ず死を迎えます。だから全ての生命が無意味かと言えば、そうではありません。全ての生命は、それぞれに目的を持って生きるのです。それは人間に限らず、飼われている犬にも、海の魚にも、道に生える草にもあてはまります。それがこの星に生きる意味です。人間にしぼって言ってみれば、次のようになります。
人は肉体だけで生きているのではありません。肉体とともに魂があります。魂とは目には見えませんが「いのち」そのものであり、それが肉体を生かしている、と言えます。魂は永遠無限の「いのち」ですが、肉体は魂がなければ生きていけないものです。あなたにはあなたの魂があり、同じように、あなたの父にも母にも兄弟にも、それぞれの魂があります。今、家族として一緒に生きているのは、生まれる前からの約束があったからです。
一回限りの肉体とは違って、魂はずっと生き続けています。肉体的に死を迎えた時、魂はもともと生きていた「霊界」へと戻ります。そしてまた地上に生まれます。なぜ、何度も地上に生まれてくるのでしょう。それは地上で学ぶこと、地上で実感・経験することが、"魂にとって必要"だからです。どの人の魂も、「学ぶこと」を喜びとしています。その「学び」とは学校で習っているようなものとは、まったく違います。心で感じ、心で経験し、心を表現し、心を通い合わせることです。人を愛し、思いやり、親切にし、優しくしていくことです。
魂だけで(肉体という「形」のない)で生きる世界では、魂たちはそういう心で生きています。それが「形」のある地上でもできるように、地上もそういう心の世界にできるようにと願いながら、皆、生まれてくるのです。
実際はどうでしょう。あなたももう分かっているように、人間は優しく親切な人ばかりではありませんし、優しい心の人でもずっとその心だけで生きてはいません。悪いこと、ずるいことを平気でする大人たち、嘘ばかりつく人、不公平な扱いをする人、いじわる、競争、傷つけ合い・・・。今の世の中には「霊界で生きる心」とはちがう心があふれています。
それを見たあなたは「何でこうなんだ。」「ちがう。」と何度も思ったでしょう。そして、「みんなが優しかったらいいのに。」「公平にあつかってほしい。」「本当の気持ちが言えたらいいのに。」「人を比べたりしなければいいのに」「自分は自分でいいじゃないか。」とも思ったでしょう。
本当はそうなのです。あなたが思ったようにみんなが思えたのなら、今の世の中から"悲しいこと"も"苦しいこと"も"嫌なこと"もなくなっていくのです。そして全部の人はそれを知っているのです。心の奥ではそれを求めている声が響いている。なのに、止められない今の現実に自分を合わせていくのです。
人間が長い歴史の歩みのなかで、何度も生まれてくるのは、初めに決めた「学び」を達成するためなのです。何度も失敗するから、何度も"やり直し"をしているのです。そしてあなたもまた、そのなかのひとりです。
あなたは自分の魂が決意したことを覚えているのでしょう。「本当は人はこう生きるはずだ。」と知っているから、それとは全くちがう今の世の中が苦しくてたまらないのです。
でも、もっと強く魂が決意したことがあるのです。それは、「人が人に優しくできるような、人が人を大切にできるような、そういう世の中にしていくために、自分は役立ちたい。」というものです。だから今、生きているのです。
嫌な思いをしたのは、「そうでない心」で生きられる世の中を求める心が強くなるため。傷ついたのは、「心を傷つけられないような」世の中を求める心を強くするため。少し難しいかもしれませんが、あなたが「がっかりしたこと」「悲しく思ったこと」がやがて「うれしいこと」や「楽しいこと」を作り出していく力になるのです。
あなたには、あなたのことを心から思ってくれる両親・兄弟がいます。あなたのやりきれない気持ちを分かってくれる人たちは何人も、いえもっと大勢いるのです。それはそのまま事実ですから、そう受けとめてください。
何もする気になれず、力がわいてこない、それはあなたが"世の中"に対して"大人たち"に対して希望が見出せないからでしょう。しかし、あなたの魂が決意してきたように、あなた以外の人たちも、決意して生まれてきたのです。輝く心で生きられる自分になりたい、と。
"世の中"や"人間"の暗い部分は確かにたくさんあります。でも、同じ"世の中"や"人間"には光もたくさんあることを思い出してください。優しさも親切も思いやりも、まだまだ人の心にたくさんありますし、そういう心で生きている人がどんなにいることか。希望はあるのです。もちろんあなたの心も今は一休みだとしても、これから発揮していく力は奥の方にかくれているだけです。その力を出していくには、「自分にはもうだめだ」とか「何もできないやつだ」などと思わないことです。あなたがいてくれて嬉しい、と思ってくれる人がいて、あなたを必要としてくれている人がまちがいなく側にいるのですから。大丈夫です。