苦しい心のままで他界した人を癒すために

地上を離れた人の全てが、明るい霊界に戻ることができるのかと言えば、そうではありません。何らかの理由により、心に抱いた苦しいものを拭い去ることのできなかった人は、地上と霊界との間、幽界に生きることになります。
本来ならば、肉体から離れた次に“地上的な感情の衣”も脱いでいくのです。しかし強い執着を持ってしまっている場合、深い悲しみの心、強い憎悪、大きな後悔など、かげりの心が深ければ、その重さのために、次の次元へと移行できないのです。
病や事故などによって肉体を離れた者のなかでは、幽界へとどまる者はそう多くはありません。しかし、“自殺”によって肉体から離れた者は皆、幽界へと向かいます。地上的な生命は人（自ら）の手によって断つべきものではないからです。定められた期間を地上で生き抜くという流れに逆行することは、それだけですでに重いかげりを背負うことだからです。

自殺者は幽界では、地上を去る時の「心のかげり」のなかで生きることになります。「死んだら何もかも終わる」「死んだら解放される」のでなく、死ねば自殺の理由になった、その苦しさのみのなかに生き続けることになるのです。自ら生命の流れを断ったことの埋め合わせは、逃げようとした苦しさを味わうことでなされるとも言えるのです。
“自殺者”でない場合は、抱いてしまい拭いきれなくなったその“かげり”のなかにいる自分は、本来の自分ではないことに気づくまで、その“かげり”のなかに生きることになります。
霊界とは、喜びのみの世界です。幽界からそこへ戻るためには、その人が喜びのエネルギーに満たされる（注がれる）ことが必要なのです。それは地上に生きる者からも向けることができます。地上に生きる者がその人のことを思い、（心配するのでなく）霊界での健やかな学びを願うエネルギー、それが、幽界のその人の力となるのです。
“明るい”霊界からも、もちろん慈しみのエネルギーは注がれてはいます。しかし彼らは、なかなかその光に共鳴しにくいのです。今の自分の心の状態は、“光”とは共鳴しにくいために、彼らの心をすぐに変えるだけの働きかけとはならないのです。もしも彼らが注がれるエネルギーに目を合わせ、気持ちをそちらに向けることができれば、本当の“喜び”というところにつながり始めるのですが。
だからこそ、光もかげりもある地上界からのエネルギーの方が彼らは共鳴しやすいのだとも言えます。霊界側からも、彼らに向けてだけでなく、地上で生きるあなた方に対して、「彼らに働きかけるように」というインスピレーションやエネルギーが注がれているのです。
つまり、幽界に生きる者たちは、霊界、地上界の両方から、エネルギーの援助を受けて、かげりの世界から抜け出せるのです。

もしもあなたのまわりに自ら生命を断った者がいるならば、その人のためにぜひ祈ってあげてください。その人があなたに対して何かしてくる、などということはありません。どうか恐れずに。「その人が本来の霊界に戻り、喜びのなかで健やかに生きられますように。」と。「かわいそう」という同情よりも、その人が喜びを迎えられることを願うのです。
また、心の苦しさを抱えたまま他界した（と思われる）人がいるとすれば、同様にその人のことを思ってあげてください。
地上時代に経験したのは苦しさ・つらさのみならず数々の喜びもあったはず。それなのに、それらを携えていけず、心の重さのみのなかに今生きているその人に、いたわりと優しさのエネルギーを送ってあげてください。暗がりのなかにいるその人に分かるものは、愛念という明るく温かなエネルギーなのです。それらを感じる時、彼らの心に一筋の光が差し、やがてそれが広がるのです。そうすれば、彼らを迎えに来る者（霊）が必ずいるのです。その時ようやく彼らは自由・解放を実感し、幽界を離れることができるのです。