夫婦(結婚・離婚・セックス）

夫婦として一組の男女が共に暮らすことには、大きくふたつの意味があります。
今の人生よりも以前に経験した人生（前世・過去世と言われています。）において、夫婦であったかなかったかは別としても、その男女の間に大きな心のわだかまり・トラブル、あるいは溝ができてしまい、その人生を終えるまでにそれが解消できなかった時、その二人の間に残ったものをカルマと言います。
地上を離れてからの二人は、地上で作ってしまったカルマを解消しようと意志し、次の人生でそれを果たすべく、夫婦（それが親子・兄弟等の場合もあります）として出会うことを約束します。
こうして今の人生で夫婦として一組の男女が共に暮らすこととなります。この場合、過去世でのわだかまりを解消することが目的のひとつではありますが、それだけで終わりではありません。もちろん、互いの間に“かみ合わないもの”があるのですから、なかなかその目的はかなえられません。むしろ、過去世で作ったカルマをさらに深めたり、解消できないままに地上を離れたり、別れたりする夫婦もあります。地上に生きる人々は現在までそれを積み重ね、繰り返してきました。
しかし今からはその重ねてしまったカルマを清算し、その次にある調和したつながりにまで進めなければならない時期を迎えています。なぜなら、本来一組になる男女は、愛し愛され、それを喜び合い、さらに、肉体においても喜びを共有し、求め合い、与え合うべきものだからです。男女という異質なものを響き合わせ、つなぐのは心の喜びであり、肉体の喜びです。それらを阻むものが互いの間にあるカルマなのです。

二人の間にあるカルマが解消されること------それは互いに相手を理解し、協力的な気持ちになれたかどうかで分かります。そしてさらに、その二人が「魂の意識として」共に歩むべき相手であるならば、それ以前よりも深い愛情を互いに感じ、互いの存在を喜び合いながら新たに、共に歩み始めることになります。それは心の喜びのみならず、肉体のうえにも反映され、大きな喜びとともに体を重ねていくことになります。
しかしその二人が、相手を理解し、協力的な気持ちになった時、共に歩むことよりも、別々の道を歩むことを選択する場合もあります。それは「魂の意識」としては、夫婦として共に生きるべき相手ではないからこそであり、夫婦となった目的が、双方の間にあるカルマの解消だった場合です。そこでは心からの納得のうえで、結婚を解消する、という順を踏むことになります。さらにはその後にそれぞれがふさわしい相手と出会うということもあるのです。

このことから考えて、「離婚」ということに否定的な感情を持つことはない、ということが分かると思います。なぜなら、本来共に歩むべきでない者どうしが、「カルマの解消」のために、どうしても離れ難い間柄になるために、結婚という形のなかに自分たちを設定したのであれば、その目的であるカルマの解消が成されれば、本来あるべき姿に戻るのですから、結婚の解消は自然の流れということになるのです。
しかしながら、苦しさのあまりにそれから逃れるための「離婚」は、その人（たち）の魂の意識からすれば逆行する、という場合もあります。苦しいものを乗り越えたあとでの別れとなるのか、再び共に歩み出すことになるのかは、乗り越えたあとになって初めて分かることなのですから。

いずれにしても「結婚」とは、霊的にみれば、互いに向き合わざるを得ない状況を地上的な形として作るもの、と言えます。それは結果的にはその先にある喜び、つまり、本来のあるべき姿（共に、あるいは別に）に戻るための設定だと言えるのです。
本来異質である男女が、響き合い、重ね合うことの仲立ちとなるのが心の喜びであり肉体の喜びであると伝えました。
肉体の交わりは地上ならではのものです。
なぜなら、地上界とは、心をものやかたち（肉体）によって表現する場であり、同時に心の喜びをものやかたち（肉体）によっても味わう（実感する）ところだからです。
心から愛し合う男女であるならば、それが肉体に反映された時、共に大きな喜びを共有できるということになります。
肉体的な喜びのなかで最も強く、深く、大きなものが性的な喜びであり、その人の心の状態・傾向・相手との関わり方がその人のセックスに反映されているとも言えます。
しかし、肉体には肉体としての欲求や喜び（快感）があり、心とは必ずしも一致しない場合もあります。だからと言って、肉体やその喜びについて否定的・批判的に思う必要はありません。
大切なのは、心が響き合う相手と肉体の喜びも共有できることが、その人にとってもお互いにとっても最も“幸せだ”ということです。肉体だけの喜び、欲求のみに従って快楽を求めることは、「心の喜び」が伴わないのですから必ず、「虚しさ」「寂しさ」「満たされなさ」を覚えます。その苦しさがあって初めて心を求めることに気づいていく人もいるのです。
逆を言えば、心でのみつながり、響き合っている男女がいたとして、そこからさらに喜び（愛情）が深まり、また、喜び（愛情）を求め合っていけば、その反映として肉体をも重ねたい、心がひとつになるのと同じように体もひとつにしたいという欲求は、自然と高まるのです。そしてそれが与えられない場合は、やはり「寂しさ」や「満たされなさ」は感じるのです。
肉体と心とを持って地上で生きるあなた方が、心と体その両方の喜びを求めていくのは当然のことなのです。

今の時代はあらゆるところで心を縮め、抑え、隠し、また目をそらしてしまうという状況におかれています。互いの心に踏み込むことを避け、また、本当の自分の姿、心を見せまいと守ることに必死です。それがたとえ夫婦であっても、互いにありのままでいられないほどにです。深く関わることを避ける、表面的な調和を求める、心をさらに見ようとはしない・・・。要因はいくつもありますが、そのことによって、夫婦としての関係を薄くしていく、つまり、セックスレスにつながっていくことが多いのです。心を求め合わないことが肉体にも反映されるのです。しかしこれは、一面的な問題でも、どちらか一方に問題があるというわけでもありません。求めながらも心に負った傷により、そうできないこともままあることです。
いずれにしても互いに対する理解をどこまで深めようとするのか、互いに対する思いやりをどこまで深めようとするのか、さらには、どこまで強く求めていくか、それがこの問題を解消する鍵なのです。
「心を重ね、響き合わせて共に歩むこと」を特に二人の人生の目的とした場合に、あるいは、過去世における性的交わりが生んだカルマの解消が主な目的となっている場合には、互いが愛情を深め合い、共に生きる喜びに満たされながらも、肉体的交わりを持つことは物理的に無理だということももちろんあります。
この場合は、性的交渉が持てないという互いにとっての苦しさを乗り越えることで得られる心の喜びの大きさと、それによってもたらされる“働き”を共有することの喜びとがあり、それがこの二人にとっては、どうしても設定上必要なことだったのだと解釈できます。心と体との両方で喜びを共有することが何よりの幸せである場合もあれば、二人の間の（再生前の）約束として、そうではない設定を自分たちの意志で決めるという場合もあるのです。